2009年10月27日火曜日

ハリガネムシ

ばらばら、ばらばらとこぼれていく。
外面は平静を装ってもくずれていく。
応急措置をほどこしたそばから。
あいた穴をそとから見えないように埋めるために
内側から内臓を千切って詰める。
いつか、外壁が崩れ落ちた時に、
もはや何も内側に残っていないことを知って、
誰かが驚くだろうか。
それとも、そんなことなんて、誰も見ていないかも知れない。

帰巣本能なのか。
危険になると、最初に戻りたくなる。
最初。一番最初に身につけた仮面。
真面目で真剣で、紳士で、まっすぐで、単純。
急に戻りたくなって演じたんじゃないの?
よくわからない。

あの後、結婚までは、それこそ、向こうにいたときまでも、
それで通せたじゃないか。
自分までだませたのかも知れない。
一緒になってからしばらくも自分をそのまま保てたじゃないか。
だからきっと、あれが本当なんじゃないのか。

そうだったらいいと、どっかで思ってないか。
 なぜ、あっさりと、それで引き下がらなかった?
でも、きっと違うって、底で知ってないか。
 知っている。ここが終着点じゃないと知っている。
 もう昔の手で自分がだませないことも知っている。
 
ハリガネムシ。
カマキリに寄生して、狂ったように行動を操り、
水場へと連れて行く。

繰り返しじゃない。

2009年10月18日日曜日

遠く、遠く

季節が少しばかり進んだような地で
見るものは少し違って
普段も決していつもそばにいるわけじゃないのに
刹那、刹那、違うものを見ていることを意識して
時にこころ動くものを見て
それをすぐにも伝えたい思いに駆られ
そうすることもできずにしまいこみ
想像の中で、反応を描いて
少しあたたかな、小さな灯をともして
この僕のまわりの
ちいさな空気が
そのまま大洋も時差も越えて
運ばれていけばいい

2009年10月6日火曜日

Man in the Mirror

そう言えば、鏡なんだ。
そんなことはわかっているのに。
遅れているのは、こちらなんだ。
遅いと笑って、もっと遅いのはこっちの方なんだ。
周回遅れに追い抜かれたようで、更に遅れているのはどっちなんだ。

マグマを溜めているのはどちらもなんだ。
噴き出したらどうなるかわからないのはどちらもなんだ。
理性ぶった顔で前向きになんて言ってるのはどのつらなんだ。
だからどの顔をしてって思ったのはほんとなのに、また、新しい仮面が巣食いはじめる。
かつて恐れて封印し、もう、ひからびてしまったような結晶なんて、
それは9年前のものだったか。
12年も前のことがむしろ、結局、そこをめぐってるんじゃないか、って
恐怖?そんなんじゃない。でも
ただ、自分の残酷さに向き合うのが、結局、怖いんじゃないのか。
奔流になって噴出したら、何をなぎ倒してしまうのかわからない。
器用だった分、人生を塗り固めてこられた。
いつか、偽りだったはずの仮面が皮膚から剥がれなくなった。
本当の自分なんてない。本性なんて、食いつくして、壊しちゃう、
ただ、それだけなんだ、でも、表面は、紳士のつらをさげて、
嫌味でプライドの高そうな慇懃な面をつけて、でも、もう、
それこそ、そこが本当なんだ、薄っぺらで。

新しい地平があるように見えて、苦界しかないのかも知れない。
何だかわからない、だけど、
それなのに、だけど、
もっと進みたい

2009年10月4日日曜日

その先の向こう

一寸先が見えない。
どこに向かっているのかわからない。
たどりつく場所があるのかもわからない。
制約はきつすぎる。下手をすると、巻き込むものが多過ぎる。
スマートに、解決できる手段が本当にあるのか、よくわからない。
そもそも、解決って何なんだろう。
すべてを満たす方法がこの世にあるように思えないのだから。

だけれども、楽観しよう。
何度でも立ち上がれるなら

2009年10月3日土曜日

渦巻き

どろどろとした流れが自分のまわりをめぐって、何もかもを引きずり込もうとする。何か大きな穴が、虚が、内側にあいて、そこを満たそうと得体の知れない流れが出来上がってしまう。嫉妬?みたされたはずなのに、禁断症状のように、そうして、ほかの何かをみんな、そんなはずはないのに、特定の何かとむすびつけて妄想し、もだえ、そして刃を自分に向ける。抜け出せない。