ばらばら、ばらばらとこぼれていく。
外面は平静を装ってもくずれていく。
応急措置をほどこしたそばから。
あいた穴をそとから見えないように埋めるために
内側から内臓を千切って詰める。
いつか、外壁が崩れ落ちた時に、
もはや何も内側に残っていないことを知って、
誰かが驚くだろうか。
それとも、そんなことなんて、誰も見ていないかも知れない。
帰巣本能なのか。
危険になると、最初に戻りたくなる。
最初。一番最初に身につけた仮面。
真面目で真剣で、紳士で、まっすぐで、単純。
急に戻りたくなって演じたんじゃないの?
よくわからない。
あの後、結婚までは、それこそ、向こうにいたときまでも、
それで通せたじゃないか。
自分までだませたのかも知れない。
一緒になってからしばらくも自分をそのまま保てたじゃないか。
だからきっと、あれが本当なんじゃないのか。
そうだったらいいと、どっかで思ってないか。
なぜ、あっさりと、それで引き下がらなかった?
でも、きっと違うって、底で知ってないか。
知っている。ここが終着点じゃないと知っている。
もう昔の手で自分がだませないことも知っている。
ハリガネムシ。
カマキリに寄生して、狂ったように行動を操り、
水場へと連れて行く。
繰り返しじゃない。
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