2009年10月27日火曜日

ハリガネムシ

ばらばら、ばらばらとこぼれていく。
外面は平静を装ってもくずれていく。
応急措置をほどこしたそばから。
あいた穴をそとから見えないように埋めるために
内側から内臓を千切って詰める。
いつか、外壁が崩れ落ちた時に、
もはや何も内側に残っていないことを知って、
誰かが驚くだろうか。
それとも、そんなことなんて、誰も見ていないかも知れない。

帰巣本能なのか。
危険になると、最初に戻りたくなる。
最初。一番最初に身につけた仮面。
真面目で真剣で、紳士で、まっすぐで、単純。
急に戻りたくなって演じたんじゃないの?
よくわからない。

あの後、結婚までは、それこそ、向こうにいたときまでも、
それで通せたじゃないか。
自分までだませたのかも知れない。
一緒になってからしばらくも自分をそのまま保てたじゃないか。
だからきっと、あれが本当なんじゃないのか。

そうだったらいいと、どっかで思ってないか。
 なぜ、あっさりと、それで引き下がらなかった?
でも、きっと違うって、底で知ってないか。
 知っている。ここが終着点じゃないと知っている。
 もう昔の手で自分がだませないことも知っている。
 
ハリガネムシ。
カマキリに寄生して、狂ったように行動を操り、
水場へと連れて行く。

繰り返しじゃない。

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