2008年12月30日火曜日

【本】エンハンスメント論争

第1部ベターヒューマン
第1章 もっと強く、もっと長く、もっと賢く、もっと早く

「まず、試験競争は、知力のエンハンスメントに頼ろうとする気持ちを強めがちだが、教育における試験競争自体の役割を見直し、それに代えて、生涯にわたって学び続けることができるような個々人それぞれに応じた学びの経路を重視することが必要である。」

昔から言われてできなかったことがいよいよ急務、という、こちらの言説の方が、適当な日本の倫理学者たちのたわごとよりも信用できる。

2008年12月29日月曜日

[本]脳神経倫理学の展望

信原幸弘・原塑編著

第7章
薬で頭をよくする社会―スマートドラッグにみる自由と公平性、そして人間性
植原亮

多くの議論はまとめてはいるけれど、結局のところ、何かを言ってるのだろうか。知見が少ないと言うだけならば、何の、どんなデータが必要なのかまで言わなければ、何かになってるのか。

2008年12月19日金曜日

MRI Beebop?

PLos Oneの記事から
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0001679
PLoS ONE 3, e1679 (2008)
Natureにコメントあり。
http://www.nature.com/nature/journal/v456/n7224/full/456841f.html
”Neural Substrates of Spontaneous Musical Performance: An fMRI Study of Jazz Improvisation”
Jazzの即興の際の脳の働き
前頭前野の中央部 >self-expressionに関係する座、とか。

2008年12月15日月曜日

【本】学術情報流通とオープンアクセス

p35~37に電子化時代の論文の在り方について予言ふくめて書いた人々のフロー図一覧みたいなのがあるのはうれしい。雑誌の崩壊を言っているのはあるけど、論文の崩壊は言ってないみたい。幸いなことに。

「クロフォードらは、電子メディアによる学術コミュニケーションの『変化』と『変容』とを使い分けている。たとえば、プレプリントが印刷のコピーとして流通していたのが、電子的なプレプリントとして流通するようになるというのは、大きな『変化』ではあっても、制度的な、もしくはシステムの根幹をゆるがすような『変容』ではないとしている。」 p38

オーウェンのモデルは再読必要44p

12月16日のSPARCに行かれないのは残念。

2008年11月11日火曜日

小さな小さなクローディン発見物語

月田承一郎著 羊土社 2004年

早世してしまったオリジナリティ溢れる科学者。

「視力」という言葉で語られることが、瀬名さんがいう「まなざしの力」と同じ。

2008年11月3日月曜日

サイエンス・インポッシブル から

ミチオ・カクの新作「サイエンス・インポッシブル」 (NHK出版) から

「私は物理学者として、『不可能』というのが、えてして相対的な言葉なのだと知っている。」 p.012

p.025 アーサー・C・クラークの三原則  として引用
「I. 高名だが年輩の科学者が、あることについて可能だと言う場合、ほぼ確実にそれは正しい。その人物が、あることについて不可能だと言う場合、きっとそれは間違っている。」
「II. 可能なことの限界を見出す唯一の手だては、思い切って少し不可能なところまで踏み込んでみることだ。」
「III.充分に進歩したテクノロジーは、魔法と区別がつかない。」

[本]タンパク質の一生―生命活動の舞台裏

ゴルジ層板成熟や、行先ごとのシグナルの話などはあまり知らなかった。
チャンネルの大きさなの違いなど。
2%しか、成功しないようなタンパク合成、とか。
HSP(Heat shock protein)と、シャペロン

2008年10月30日木曜日

本 誰が科学技術について考えるのか

日本人は議論が下手、という前提を疑うところ。
したくないか嫌いか、という問題はともかく、下手、ということの否定にはなっていないのかも。

専門家の衝撃、と、陥穽の問題は重要。
インフォームドコンセント文書、
誰が読むのか、という問題。

2008年10月21日火曜日

感覚生態学:視覚による種分化

感覚生態学:視覚による種分化
Sensory ecology: In sight of speciation pp601 - 602Adaptation of a fish's eyes to its visual environment can bias females to mate with different males according to their coloration. This sensory preference can contribute to the formation of new species.Mark Kirkpatrick and Trevor Pricedoi:10.1038/455601a
Nature Contents 2 October 2008 (Vol. 455 pp601 - 602

進化:感覚器の適応が引き起こすシクリッドの種分化
Speciation through sensory drive in cichlid fish
Nature Contents 2 October 2008 (Vol. 455 pp620 - 626
This paper identifies the ecological and molecular basis of divergent evolution in the visual system of Lake Victoria cichlid fishes, leading to speciation through sensory drive without geographical isolation.Ole Seehausen et al.
doi:10.1038/nature07285

2008年10月9日木曜日

雑案

閉鎖的な志向をもった人工知能。HALでない何か。

2008年9月23日火曜日

サイエンス・イマジネーション

小松左京監修 瀬名秀明編著
何よりも、5名のSF作品など、一気に読む機会がないから、それが貴重。

岡ノ谷氏
「声」の獲得。呼吸の随意性。
言われてみれば納得。

2008年9月18日木曜日

ドロン・ウェーバーの仕事

スローン財団の科学技術講習理解プログラムディレクター。
政策研の講演録160.
16ページ  自ら脚本を書いている ・・・・

「ハリウッド関係者や演劇関係者に私が話すときは、決して「教育」という言葉は使いません。教育というのは、アーティストにとってはプロパガンダとか宣伝として受け取られます。ですから私は、「エンターテインメント」という言葉を使っています。」 30ページ

21世紀科学教育の創造

報告書2004年版。
瀬名さんの講演収録が白眉。

2008年9月15日月曜日

「脳の中の倫理」

ガザニガ。
p206 ポール・マクヒュー 大統領生命倫理評議会 カトリック教徒
医療目的のクローン胚は胚ではない。ザイゴートではなく、クローノート。
 New England Journal of Medicine351, 209-211. 2004
Zygote and 'Clonote' : The Ethical Use of Embryonic Stem Cells

側頭葉てんかん p215-
 ゲシュビント症候群
 ゴッホ、ドストエフスキー、PKディック、ルイス・キャロル、フローベール、スウィフト、・・・サウル>パウロ、

「違うのは私たちの行動ではなく、なぜそういう行動をとったかを説明する理屈の部分にすぎない。人間の対立はすべてこの理屈の違いから生じていると理解すれば、異なる信仰体系のもとに生きる人どうしが共存していくうえで大いに役立つのではないだろうか。」p221.

2008年9月13日土曜日

学術と広報

国立天文台の2002-2005年にかけてのシンポの集録を一気に読む。
やはり先駆的だ。

なゐふる 地震学会の広報誌
http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/publications/NAIFURU/naifuru.html
メーリングリスト
http://www.mmjp.or.jp/zisin-nfml/

考古学の業界で、論文発表など、全く待つこともなく、遺跡から何かが出たら直ちに、記者発表ということは考えさせられる。45-63p 2004のもの(「学術の広報と報道に関するシンポジウム 集録」 2004.2.20 国立天文台)

2008年9月11日木曜日

読書「脳の中の倫理」

「責任の有無を、脳神経科学者が脳のなかから見つけ出すことはけっしてないだろう。責任とは人が持つ属性であって、能が持つ属性ではないからだ。」 p.146

「今や、正常な人間までもが決定論から逃れられないかのようである。私たちは、個人の責任という概念を捨てるべきなのだろうか。私はそうは思わない。脳と、心と、人の区別をつける必要がある。人は自由であるから、自らの行為に責任を負う。脳には責任はない。」 p131

マイケル・S・ガザニガ

再読「総合研究開発機構 「生命科学における科学と社会の接点を考える―生命誌研究館(Biohistory Research Hall)の提案―」1989.

学術の異分野コミュニケーションの場として、総合雑誌が担ってきた役割についての記述もあり。
文春や公論の役割と、文化人科学者のくだりは面白い

2008年5月16日金曜日

Nature

【媒体】Nature 日本版発行部数  : 7,000部 / 読者数 55,927人読者データ :新規購読者 20.75% 5年以上の購読者 40.30% そのうち16.75%が20年以上の長期購読者       (2007年7月NAP調べ)所属研究機関:教育機関 52% 民間企業 14% 行政機関 6% 病院 6%       民間研究機関 2% その他 19%研究分野  :生物学系 57% 医学系 25% 化学系 7% 物理学系 5%       工学系 4% その他 3%(指定のないものを除く)

行くかも知れないものなど

なんでPDFなんだろう。
http://www.miyagi.jst-plaza.jp/topics/news/20080509/20080604.pdf

喫煙防止の取り組み

http://www.nature.com/neuro/journal/v11/n5/abs/nn.2108.html
クラスの人気者に、喫煙=かっこ悪い、という価値観を主導させる、とか。
この介入そのものが可能なら、それはあり得るわけだけど、
介入に染まるような生徒は人気を維持できないんでないだろうか?、
とも思う。
マインドコントロール的な雰囲気もあって、ちょっと、倫理面が気になる。

行きたいとまでは思わないけれど、

真っ当でまっすぐな取り組みだと思う。
http://licahouse.com/index.html

2008年4月27日日曜日

読書「エブリブレス」

瀬名秀明著。

綺麗過ぎてきたない感じ。まぁ、嫉妬もあるけれど。
未来を構成しようとすると、悪人を出しちゃうと苦しいのかな。

2008年1月14日月曜日

生きものの同じ

生物における共通性は様々なレベルであらわれる。

あなたと私は同じ人間だが、違う個人である。
同じ日本人、同じ血液型、性別などに括れる可能性もある。

ヒトという種でまとめられて、ではヒトとチンパンジーは
どこまで同じだろうか。

霊長類という概念で括られ、哺乳類として括られ、
脊椎動物、動物、とより上位の概念へと昇華していく。

何が同じで、何が違うかを考えることが生きものそのものを
考えていくことにつながらないか。